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【スタジオジブリ】『風立ちぬ』を見ての感想とジブリ作品の時代設定まとめ

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「風立ちぬ」公式サイト
スタジオジブリ最新作宮崎駿監督「風立ちぬ」を見てきました。
が、その感想の前に、以前テレビ番組で鈴木敏夫さんが『風立ちぬ』『コクリコ坂から』『崖の上のポニョ』はジブリ昭和三部作であり、宮崎駿監督もジブリにとって重要な作品と位置づけている、というようなことをおっしゃっていたので、なんとなく気になってジブリ作品の時代設定を調べてみました。

スタジオジブリ作品一覧(公開年・監督)
風の谷のナウシカ(1984年・宮崎駿)
天空の城ラピュタ(1986年・宮崎駿)
となりのトトロ(1988年・宮崎駿)
火垂るの墓(1988年・高畑勲)
魔女の宅急便(1989年・宮崎駿)
おもひでぽろぽろ(1991年・高畑勲)
紅の豚(1992年・宮崎駿)
平成狸合戦ぽんぽこ(1994年・高畑勲)
耳をすませば(1995年・近藤喜文)
もののけ姫(1997年・宮崎駿)
ホーホケキョ となりの山田くん(1999年・高畑勲)
千と千尋の神隠し(2001年・宮崎駿)
猫の恩返し(2002年・森田宏幸)
ハウルの動く城(2004年・宮崎駿)
ゲド戦記(2006年・宮崎吾朗)
崖の上のポニョ(2008年・宮崎駿)
借りぐらしのアリエッティ(2010年・米林宏昌)
コクリコ坂から(2011年・宮崎吾朗)
風立ちぬ(2013年・宮崎駿)
かぐや姫の物語(2013年・高畑勲)

正確には「風の谷のナウシカ」はスタジオジブリ作品ではないのですが、公式に含める方針のようなので、ここでも入れました。
これらの作品の時代設定を公式発表+推測で並び変えたものが以下。一応、理由も書きましたが・・・

スタジオジブリ作品一覧(年代順)

作品名 時代設定 理由
ゲド戦記 500年~1500年 中世ヨーロッパっぽいが、勘
かぐや姫の物語 710年~794年 竹取物語は奈良時代だと思われるのですが、
この作品自体の設定は謎
もののけ姫 1540年~1573年 作中の時代背景と「明国の鉄砲」より
ハウルの動く城 18世紀初頭 産業革命以前っぽいが、勘
天空の城ラピュタ 1900年前後 パズーの父親が撮ったラピュタの写真に
「1868.7」と記載
★風立ちぬ 1920~1930年代 公式、昭和3部作の1作目、昭和初期
紅の豚 1929年前後 作中でポルコの読む雑誌「フィルム」が
1929年号
火垂るの墓 1945年 作品中で明示
魔女の宅急便 20世紀後半
となりのトトロ 1953年 映画「コクリコ坂から」のパンフレットより
★コクリコ坂から 1963年 公式、昭和3部作の2作目、昭和中期
おもひでぽろぽろ 1966年、1982年 作品中で明示
★崖の上のポニョ 1970年以降 公式、昭和3部作の3作目、昭和後期
平成狸合戦ぽんぽこ 1990年代 「平成」「多摩ニュータウン」より
ホーホケキョ
となりの山田くん
1990年代 朝日新聞の4コマ漫画なので同時代
耳をすませば 1994年 作中のカレンダーより
猫の恩返し 1994年以降 「耳をすませば」の雫が書いた物語だから
(出典無し)
千と千尋の神隠し 2000年前後 現実世界の描写が少ないため、勘
借りぐらしの
アリエッティ
2000年代
風の谷のナウシカ 1000年以上未来 作品の冒頭文「産業文明の出現から1000年を
経て極限まで科学技術の発展した人類社会が、
「火の7日間」と呼ばれる最終戦争によって
滅びてから1000年余りが経過した未来」より

ジブリ作品に限らず時代設定を調べるなんて無粋だという意見は置いといて、なんとなく調べたりしただけでも面白い発見はありました。もちろんこれが正しいかどうかは分かりませんし、そもそも正しいってなんだともなりますが・・・
昭和3部作と言っていた『風立ちぬ』『コクリコ坂から』『崖の上のポニョ』の間、前後にもこんな作品が入り得るのかと思うと、さらに「昭和3部作」という発言について考えてしまいます。
ということで、ここからは「風立ちぬ」を見た感想。ネタバレもあるかもしれませんので、ご注意下さい。
結論から言えば、私は好きな作品です。見終わってからレビューなんかを見たところ、私と同じような感想の方もいれば、駄作と一蹴する方もいるのですが・・・そういうものですよね。賛否が出るのも有名作品の性。
ただ1つだけ言いたいのは、「映画=エンターテイメント」ではない。それを決めるのは制作者側。エンターテイメントであることを期待するのは勝手だけど、「期待はずれ」という言葉で批評するのはやはり悲しいことです。
さて、今作は宮崎駿監督の「遺作」とも言われていますが、端的に説明するのであれば、堀越二郎の自伝と堀辰雄の小説「風立ちぬ」(フィクション)を「飛行機好き(マニア)」な宮崎駿監督が練り上げた作品。宮崎駿監督の飛行機好きは有名な話で、今までの作品にも多くの飛行機が描かれていますし、「ジブリ」という名前もイタリア・カプローニ社の飛行機の名前です。しかも今作にはカプローニ社創業者のカプローニが登場しますし、二郎の夢の中でも現実でも登場するのは実在する飛行機ばかりです。
そんな宮崎駿監督が「風立ちぬ」は大人向けだと公言していた通り、この作品を子どもが本当に理解するのは難しいと思います。歴史や言葉、飛行機へのこだわりの面でもそうでしょうが、それ以上に人物描写や人間関係の面で色々な経験をした大人でなければ共感できない部分が多いからです。多くのタバコを吸うシーンやキスシーンも今までのジブリでは見られなかったところですが、映像の美しさや音楽の良さは健在です。
また、ある程度大人になってから観始めた、あるいは観直したジブリ慣れしている人からこそ見えてくるものがあります。宮崎駿監督の前作「崖の上のポニョ」には伏線がほとんどなく、非常にシンプルで、それまでの作品に多く見られた「出逢い」「小山」「大山」というストーリー展開とも違いました。子どもは「ポニョがかわいい」だけで満足だったと思うのですが、大人は本当にジブリ離れを考える作品であったとも思います。
その後の「借りぐらしのアリエッティ」、「コクリコ坂から」に宮崎駿監督がどれだけ絡んでいたかは分かりませんが、一応監督ではないのでこれら抜きで考えると、今作は非常にギャップがあり、自伝調なので起承転結がないにしろ、ありとあらゆる場面に「あっ」と思わせる仕掛けや伏線があります。「10年」という二郎だけでなく宮崎駿監督自身にも関係するであろうキーワードも、飛行機等の機械音が全て人の声で作られていることも、主役に庵野さんを起用したことも。ちなみに宮崎駿監督はエヴァンゲリオンの監督で有名な庵野さんを起用した理由を「庵野が現代で一番傷つきながら生きてる感じを持っていて、それが声に出ていると思ったから」と公言しています。
そういう前提で見れば気付けるように作られているとは思うのですが、それ次第で感想が大分変わるはずです。
内容は濃いです。126分という「もののけ姫」に次ぐ上映時間の長さではあるのですが、削ぎ落とされた言葉とシーンがつめ込んであるため、180分くらいのボリューム感があり、良い疲労感が残ります。庵野秀明さんの起用も含め西島秀俊さんや瀧本美織さん等、声優キャスティングが非常に良いので作品への入り込み具合は最近の作品でも群を抜いていますが、そんな中に色々な要素が散りばめられているものですから、見落とした部分もあると思います。
当然のことながら、これらの仕掛けや伏線には全て意味があり、ストーリーの芯である二郎の夢、菜穂子と紡ぐ愛、生と死に収束します。
宮崎駿監督作品で死を受け入れる、こんなに儚い女性は初めてではないでしょうか。
長々書きましたが、これは後から感じたこと。実際にはもっと純粋に見ました。
私達が経験していない激動の時代に吹いた風、その中で生きる人々に吹いた風、風には色も形もなく、その強さも向きも様々。
生と死がこんなにも近い時代に
「生きるって素晴らしい」
「生きて」
「君は生きねばならない」
「生きねば。」
これらの言葉で紡がれるそれぞれの人生。
全ては
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
この言葉に集約されます。
そしてユーミンの歌「ひこうき雲」によって余韻が長く・・・
カッコイイことを言えば「人生で何度か見たいと思う時期があるだろう」ですが、実際にはすぐにでももう一度見たい。
ジブリであることは明白ですが、ジブリとして評価することに意味は無い、ただ、宮崎駿さんが監督をしている必要のある素敵な作品です。

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