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静岡文化芸術大学イブニングレクチャー「茂木健一郎『脳と芸術』」

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先日、静岡文化芸術大学で行われた、
静岡文化芸術大学イブニングレクチャー「茂木健一郎『脳と芸術』」
に参加してきました。
※本記事に使用している写真は、
許可を得て撮影したものです。
転載禁止でお願いいたします。

基本的には学生向けなので、
芸術に携わる者に必要な感性、考え方、知識について、
氏ならではの聴講者を惹きつけて飽きさせない、
そして、考えることをやめさせない、
アグレッシブな話法で講義されていました。
また、講義の中で氏はしきりに、
「英語はできなくちゃ話しにならない」
ともおっしゃっていました。

脳科学者というイメージが強いのですが、
「芸術と批評性」をテーマにした講義で、
脳について触れたのはほんの数分。
「アートを見ると、脳はこう反応する!」
というものでした。
そして、主に語られていたのは、
「何がアートなのか?」
ということ。
最後まではっきりとした答えはなかったのですが、
学生は感覚的にその答えを理解していたようでした。
私も明文化まではできません。

ここからは、
講義で使用されていた題材を紹介します。
皆さんも、
「何がアートなのか?」
を考えながら見てみてください。
【1】『Gangnam Style(カンナムスタイル)』PV比較
まずは以下の動画を御覧ください。


これを見せた後、
「3人の背景を言えた人は弟子にする。」
とおっしゃっていました。
1つ目
これは皆さんご存知、
PSYの『カンナムスタイル』です。
2つ目
これに出ているのが艾未未(アイ・ウェイウェイ)
中国の芸術家です。
代表作は『鳥の巣
3つ目
動画はありませんが、Anish Kapoor(アニッシュ・カプーア)
インドの現代彫刻家です。
代表作は『クラウドゲート
私はPSYと艾未未しかわかりませんでした。
クラウドゲート自体は知っていたのですが・・・
2つ目、3つ目に出ている芸術家が、
このPVを通して何を訴えたいのか、
考えてみて下さい。
【2】Apple『Think different』

Here’s to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes. The ones who see things differently. They’re not fond of rules. And they have no respect for the status quo. You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them. About the only thing you can’t do is ignore them. Because they change things. They push the human race forward. While some may see them as the crazy ones, we see genius. Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do.
いかれた連中に乾杯。不適応者。反抗者。トラブルメーカーたち。四角い穴に刺さった丸い杭。違った見方で物事を見る連中。奴らは規則が好きじゃない。現状維持なんて毛頭も考えていない。奴らの言葉を引用することも、同意しないこともできるし、奴らを持ち上げることも、こき下ろすこともできる。できないことは何かといえば、連中を無視することだ。奴らは物事を変えていくのだから。奴らは人類を前進させるのだ。彼らをいかれた連中と見る人もいるが、私たちはそこに天才を見ている。世界を変えられると考えるくらいいかれた人々は、世界を変えていく人たちなのだから。

非常に有名なAppleの広告スローガンです。
要約すると「反逆者が歴史を作ってきた」
これが世界にとってもアートにとっても
必要なことであり、大切なことであるとのこと。
【3】荒川修作
三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller
氏が荒川修作を芸大の授業にゲストとして呼んだ際、
開口一番「おまえたち・・・、この建物を爆破しろ!!」と。
芸術家は得てして人が思いつかない言動をとるそうです。
オリジナリティ、独創性が必須なんですね。
【4】Andy Warhol

flowers(フラワーズ)

Campbell’s Soup Can(キャンベル・スープ缶)
氏曰く、
「一見ただの花の絵なのに、何時間見てても飽きない」
「価値があるものとないものの境界線がある」
「既成品をアートたらしめるものがある」
皆さんはどう思いますか?
実は私、この『フラワーズ』、『キャンベル・スープ缶』の他に、
『マリリン・モンロー』の実物を見たことがあります。
確かに、最初はアートであるようには思えず、
有名でなければ通り過ぎるところでしたが、
よくよく見るとなぜか引き込まれるんです。
ずっと見ていても飽きない、
むしろずっと見ていたいと言われる理由も分かります。
しかしこれは、実際に見ないと分かりません。
氏も「本物を見て目を養うって冗談抜きに必要なんだ」
とおっしゃっていました。
【4】アートと脳
脳科学者ならではの解説というか、
単純化されてはいましたが非常に難しかった。
私の理解では、
amygdala (扁桃体)
hippocampus (海馬)
orbitofrontalcotex (眼窩前頭皮質)
アートを見るとこの3つが反応する。
逆に言えば、この3つが反応するものがアートであり、
芸術家はこれらが敏感だと。
曖昧で申し訳ないですが、
少なくとも人はアートを見ると、
アートでないものを見たときと違う反応をするようです。
目には見えない、本能的に判断するのでしょうか。
【5】Marcel Duchamp
Fountain(ファウンテン:泉)
こちらの作品は彼が多く発表した「レディ・メイド」の一つ。
あり物、日用品をアートにした、
それこそ誰も思いつかないようなもので、
これは特に普通の男子用小便器に署名をし、
『泉』というタイトルを付けただけなのです。
これは当時、
誰でも出品できる無審査の展覧会でさえ
展示されなかったほど物議をかもしました。
さらに彼はこの作品について、
以下のように言及しています。

マット氏が自分の手で『泉』を制作したかどうかは重要ではない。彼はそれを選んだのだ。彼は日用品を選び、それを新しい主題と観点のもと、その有用性が消失するようにした。そのオブジェについての新しい思考を創造したのだ

【6】中村政人
QSC+mV
あり物をアートにする芸術家は
日本にもいます。
特に彼は社会を巻き込むアートを生み出す、
社会芸術家だそうです。
【7】オノヨーコ


John Lennon(ジョン・レノン)imagine(イマジン)
意外にも知られていないのが、
ジョン・レノンの妻であるオノ・ヨーコが
芸術家であること。
以下のような作品を生み出しています。

信頼して駒を進めよ(Play It By Trust)

Grapefruit(グレープフルーツ)
Apple(アップル)
氏曰くこれがアートだと。
あり物、日用品をアートたらしめるのは何か?
その答えのひとつが、
「オリジナリティ」と「イデオロギー」。
思想性があるからこそアートであり、
思想性があるからこそ賛否両論とのこと。
【8】Wolfgang Amadeus Mozart(モーツァルト)
言わずと知れたモーツァルトですが、
音楽家も立派な芸術家です。
彼も芸術家として革新的なことをしました。

フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 Kv.299


弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465『不協和音』
1つ目はフルートとハープを
独奏楽器に起用した異例の二重協奏曲で、
2つ目はそれまで使われたことのない
不協和音を曲に取り入れました。
常識を覆し続けた結果、
今の音楽があるんですね。
以下、詳しく触れられない
芸術家が続きます。
それぞれの作品を見て
感じ取って下さい。
【9】Andres Serrano
Piss Christ
【10】会田誠
会田誠の作品
天才でごめんなさい
【11】チンポム
ピカッ
レベル7
明日の神話
【12】Marina Abramovic(マリーナ・アブラモヴィッチ)
彼女の作品
【13】Christian Marclay(クリスチャン・マークレー)

『The Clock(クロック)』
この作品は、数千の映画作品から、
時計が写っている映像を抽出し、
リアルな24時間を作り上げた、
24時間におよぶ映像作品です。
彼のインタビュー
【14】Sarah Kay

詩も芸術です。
彼女の詩は言葉の選択がよく、
内容も非常に良い。
日本語訳はありませんが、
是非翻訳して動画を見てみて下さい。
以上が紹介された作品です。
【15】学生からの質問
質疑応答の時間に、
学生から質問が出ました。
「デザインの道に進みたいが、
今日茂木さんから教わった”感性”は
どうやって身につけたら良いか?」
その返答に、
「まず、デザインとアートは違う。
デザインは売れるものを作り、
アートは自己表現の一つ。
それを踏まえた上で、
本物をたくさん見ること。」
とのこと。
ここで、静岡文化芸術大学
文化・芸術研究センター長
三枝成彰さん登場。
(ちなみに三枝さんは超有名な作曲家で、
大河ドラマの音楽等も手がけています。)
「芸術は文部科学省で、
デザインは経済産業省の管轄である。」
氏もこれには「なるほど」と笑っていました。
締めの言葉として、
「学生の皆さんにはこれから、
『そんなのアートじゃない』
と言われるような作品を作り続けて欲しい。
所詮人間は一人で、
社会の風に耐える木のようなもの。
自分が立っているには
仲間である根や土が必要だよ。」
とおっしゃっていました。

非常に長くなってしまいましたが、
皆さんいかがでしたか?
「何がアートなのか?」
の答えは見つかりましたか?
90分という短い時間でも、
得たものは多かったと思いますし、
色んな意味で勉強になりました。
こういう講演会は自分のためにも、
そしてこれから会う人のためにも、
積極的に参加したいと改めて感じました。

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