『ハンガー・ゲーム』
※若干ネタバレがありますのでご注意下さい。また、原作の小説は読んでいませんし、あくまで私感ですので、ご了承下さい。
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とりあえず見終わった後に感じたのは、賛否が別れるんだろうなということ。当然どの映画もそうですが、この映画は☆をつけるとすると1~5個でまんべんなく別れるのではないでしょうか。見方によっては突っ込みどころが多いというのも関係していると思います。
構成、脚本、演出について
☆1つだとすると、その理由として考えられるのは、全体的に作りこみが甘いこと。主なものを挙げると、
- 私の好みではない、冒頭でおおまかな設定を説明する。確か5、6分くらい。
- 主人公以外のキャラクターの描写が極端に少なく、名前さえ覚えられないくらい主人公目線。
- 低予算なのか、演技力が不十分なのか、カメラワークが単純。
例)激しく動くシーンは基本的にキャラクターに寄り気味。キャラクターに合わせて揺れる(下手したら酔うくらい。臨場感の度を越してる。)。 - 残虐なシーンの濁し方が雑。
- 矛盾がある。
例)矢を使っているはずなのに持っている矢の数が変わらない。持っている武器がいつのまにか変わっている。時間軸で考えると無理な部分がある。 - 143分という時間に詰め込みすぎなのか薄め過ぎなのか判断しかねる中途半端さ。本筋がブレているように感じられてもしょうがない。
- (ハリーポッターやロードオブザリングのような)シリーズものではないのに、映画の終わり方が続編ありきで予告を兼ねてる。→結局4部作
- ちょくちょく脚本が気になる。特に英語が分かる方なら違和感を感じるところがいくつかるはず。
☆5つだとすると、その理由として考えられるのは主人公役のJ・ローレンス、相方役のJ・ハッチャーソンの演技力。これがこの映画を単純に駄作と言い切れない理由でもあります。
ストーリーについて
続編があるので、この映画だけ見て言うのであれば、単純に説明不足。ハンガー・ゲームに焦点を当てたいのか、国の在り方、ハンガー・ゲームの意義に焦点を当てたいのか分かりません。単純に分けて各地区の住人と管理局、それぞれの思想や現状、ゲームのルールや意義も曖昧です。
映画の中で唯一感情を揺さぶられたのは、大統領の「反逆したことを忘れさせず新たに反逆するのを防ぐためなら単純に24名処刑すれば良い。わざわざゲームにして勝者を決めるのはそれが参加者にとって唯一の希望。希望は戦うためになくてはならない」というセリフでした(若干曖昧ですが)。これはゲームのことだけでなく、生きていく上でも、国全体にとっても、と拡大解釈することもできます。
深く読めば、続編でこれらの中途半端な点が解消され、思いがけない終わり方をするのだと、希望的観測ではありますが、そう言えなくもありません。それぞれの設定も実は別の意味が、なんて考え始めれば次作も楽しみになります。
総評して
第1話がヒットすれば、そのつじつま合わせで2話、3話を使うというようなターミネーターのようです。第1組曲のように見えて、実は序曲のような感じ。
と言いつつ、この4部作、僕の好きなフィリップ・シーモア・ホフマンの遺作でもあるので特別な作品に違いはありません。